あらせんstyle

教育委員会の指導主事として学校関係者に生徒指導に関する指導助言や、学校心理士として保護者や児童にカウンセリングなども行なっている。小学校教諭を16年間勤め、関わった子供は約3500名。2014年には総合学習の実践で第63回読売教育賞 最優秀賞を受賞。著書「いじめ2.0 ~新しいいじめとの戦い方~愛育出版」

ネットトラブルから子どもを守るのは保護者です!

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小学生、中学生のインターネットを介したトラブルが多発しています。

LINEのやりとりがいつまでも終われない。

自画像(自分の裸)を撮って他人に送信してしまう。

他人の許可も得ずに他人の画像を投稿してしまう。

友達になりすましてメッセージを送信・・・等々、

その行為がきっかけに大きなトラブルになり、

場合によっては犯罪として被害届を出されるケースもあります。

 

今こそ、大切なことは、

その子を育てる保護者が

子どもをネットトラブルから守ることです。

そのためには、

保護者が「発達段階に応じたインターネットの理解」し、

「家庭でのルール作り」をしっかり行うことがポイントと言われています。

 

【発達段階に応じたインターネットの理解】

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保護者は、子どもがどんなステップでインターネットを利用していくかを知るべきです。

中学校の生徒指導担当の先生からの話を参考に、子どものインターネット利用を4段階に分けた「段階的利用モデル」を提案します。

 

ステップ1「閲覧中心期」(~小学4年生頃)

・サイトの閲覧をする。ニコニコ動画やYouTubeで動画を閲覧。Googleで調べもの。

ステップ2「交流初期」(小学5・6年生頃)

・メールを利用する。LINEでの交流も可能。文章中心の交流が中心。

ステップ3「交流中期」(中学生頃)

・ブログなどで情報発信をする。画像や動画を含む文章による交流。

ステップ4「交流習熟期」(高校生頃)

・様々なSNSで交流。オンラインショッピングなども行う。

 

 

これらのステップで経験を認めていくのです。

対象学年は、あくまで目安です。

ただし、

「閲覧中心期」「交流初期」は広範なフィルタリングとネット利用時の保護者の監視を必須とし、「交流中期」「交流習熟期」でもリビングなど保護者が目の届くところでの利用が求められます。

フィルタリングの解除や自室へのパソコン持ち込みが許可されるのは、「交流習熟期」後半です。

こうした段階を踏んで、子どものネット利用のナビゲーターとしての保護者への期待は大きいのです。

まずは、保護者が実際にインターネットに触れて理解することが何より大切ですね。

 

【家庭のルール作りについて】

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最近では、中学校では生徒会が中心になって、

「スマホの利用ルール」を決めて、生徒に呼びかけるという素敵な取組も進んでいます。

でも実際には、子どものネット利用について、「家庭でルール」を決めることは必須と言って良いでしょう。

なぜなら、実際にトラブルが起こっているのは学校外であるからです。

トラブルが起こっているのは、まさに家で使用している時です。

 

ルールを作る際で大切なことは、

保護者が一方的に決めないことです。

子どもと一緒に納得しあって作ることです。

子どもに決めさせて、自ら守らせるようにすることが良いでしょう。

 

また大切なことが2点あります。

1つは、「困ったことがあったらすぐに保護者に相談することをルールに含めること」です。被害を最小限に抑えるためにとても大切です。

2つは、「子どもと相談した上で、ルールを破った際のルールも設定しておくこと」です。

ペナルティを決めておくことで、責任を持たせるのです。

 

さらに大切なことは、当たり前のことですが、

「子どもと保護者の信頼関係」です。

これがなければ何をやってもダメですよね。

月並みですが、日頃からコミュニケーションをとっておくことが重要です。

 

ルールづくりのポイントは次の通りです。

①スマホ、携帯を使う目的をはっきりさせる。

(安全のための連絡が目的で、遊び道具ではない)

②保護者が一方的に決めず、子どもと話し合ってルールを決める。

③ルールは保護者も守る。

④ルールを守れなかった時のルール(一時使用禁止など)を作っておく。

(厳しすぎると相談ができなくなるので逆効果)

⑤子どものスマホ・携帯使用状況を確認できるルールを作っておく。

(勝手にチェックするのは逆効果)

⑥トラブルの時の対応を決めておく。

(子どもから親に相談→親が必要に応じて各種窓口に相談)

⑦相談された時には冷静に対応する。

(子どもを叱りつけたり責めたりせず、よく話を聞いて対応を考える)

 

ルール例も示します。

①利用時間や利用料金を決める。

②利用の時間帯を決める(夜22時までなと)

③利用場所を決める(自分の部屋にはスマホ・携帯を持っていかないなど)

④メールの送受信はアドレス帳に載っている友達だけにする。

⑤知らないメールアドレスからメールが来たら保護者に相談する。

⑥ネットの新しいサービスに登録する時は保護者と相談して決める。

⑦スマホ・携帯の各種設定を行うための暗証番号は保護者が管理する。

⑧困った時はどんなことでも必ず保護者に相談する。

(参考:KDDI)

 

子どもたちが生きていく未来はインターネット利用は欠かせません。

子どもにとっては、インターネットと上手に付き合っていくスキルを身につけることは必要なのです。

そのためにも、保護者は、家庭でインターネットトラブルについて指導し、子どもとよくコミュニケーションをとって、しっかり監督することが大切です。

そして、子どもはインターネット上の情報を見分け

インターネット上での自分の行動や責任について判断できる力が持てることが大切ではないでしょうか。