あらせんstyle

教育委員会の指導主事として学校関係者に生徒指導に関する指導助言や、学校心理士として保護者や児童にカウンセリングなども行なっている。小学校教諭を16年間勤め、関わった子供は約3500名。2014年には総合学習の実践で第63回読売教育賞 最優秀賞を受賞。著書「いじめ2.0 ~新しいいじめとの戦い方~愛育出版」

忘れられない星空〜Unforgettable starlit sky〜

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忘れられない星空があります。

23歳の時に見た北海道の夜空です。

 

空から星がこぼれそうで、

地平線付近にも、はっきり星が見えて、

空には、こんなにも星が溢れているんだと感動したことを覚えています。

 

その時のことを思い出すと、

今でも泣きそうになります。

 

泣きそうになる理由には、

美しい星空に出会えたことの他に、

もう一つあります。

 

一緒に見ていた人の真心を思い出すからです。

大学で知り合った、年齢では、一つ年上の中村さんという親友です。

 

私が北海道にいたのは教員採用試験を受けにきていたからです。

すでに一年前に合格していた中村さんを追いかけるように北海道で受けた試験でした。

試験会場は釧路市。2日間の試験でした。

中村さんは清里町に住んでいましたが、2日とも車で片道約2時間かけて激励に駆けつけてくれました。

 

初日には、宿泊先のホテルにビデオを持って来て、

「おい、荒井!この動画を観てくれよ。みんなからのビデオメッセージなんだ」と。

その動画には、同僚や何人かの教え子たち、何と校長先生までもが、

「荒井さん、試験がんばってください。みんな待っていますよ!」と私に向かって声をかけてくれている姿が映っていました。

涙をこらえるのに必死だったことを覚えています。何より中村さんの真心に。

 

実は、その当時、私の家には全くと言っていいほどお金はありませんでした。

母子家庭でしたし、造園会社で働きながら通信大学で学んでいましたが、生活費と学費等でお金はギリギリ。

中村さんは、そんな状況も分かってくれ、

「北海道までの交通費は心配しなくてもいいよ。全部俺が出してやるから。場所は遠いけど挑戦してみないか」

と声をかけてくれたのです。

そんな流れの受験でした。

 

話を戻します。

2日間の試験が最終。

その日は中村さんの家に泊めてもらうことになっていましたので、

釧路市から清里に向かって、真っ暗な道を車で走っていました。

その途中、中村さんが

「荒井、北海道の星は綺麗なんだぞ。」

と言って、車を停めて2人で見上げたその夜空が「忘れられない星空」なのです。

 

だから、私にとって、

星の美しさと心の温かさが重なった人生最高の星空なのです。

 

ちなみに、北海道の試験の結果は不合格でした。合格したのは兵庫県。今、兵庫で教育者として20年目になります。

 

中村さんとは、今もずっと交流しています。

心から尊敬し信頼し、ずっと目標にしている親友です。

 

先日、仕事から帰宅し、空を見上げたら、

21年前に観た星空を思い出したので、

記録に残そうと思い投稿します。