あらせんstyle

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この子さえいなければではなく、この子がいるから成長できる

 Aくんとの出会いは、私にとって財産です。


 彼は、4月当初、授業中に大きな声を出したり、走り回ったり、
 友達の消しゴムを窓から投げたりしました。
 私が黒板に字を書くと「汚い字やな」と発言。
 彼の机の周りは、鼻を噛んだティッシュ、プリントなどが散乱。
 ランドセルはずっと机の上に置いたまま。

 注意すると、
「特別扱いするな!!」
 と、悪の行動をますますエスカレートさせるのです。


 周りの子から「荒井先生、怖い・・。このクラス嫌や・・。」
 同僚からは「やっぱり荒井もあかんかったなぁ・・・。」
 そんな声が聞こえてきます。

 私は、もうどうしていいのか分からなくなっていました。
 気がつくと、私は学校に行くのが怖くなっていました。
 この時が私の教師人生で最大のピンチだったと思います。

 そんな時、私が信頼する先輩に相談した際、
 アドバイスしてくれた言葉が、
 私の人生に影響を与えた言葉になりました。

 それは、
「A君さえ、おらんかったらと思っているやろ。
 A君がいるから教師として成長できるんやで!彼に感謝せえ。」

 この子さえいなければではなく、

 この子がいるから成長できる
 
って考えなあかん。と言ってくれたんです。

 

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 腹が決まった私は、彼ととことん向き合おうと、
 5月の連休明けに、
「今年の目標」を書く授業をしました。
 彼は案の定、目標を書く紙を丸めて投げ捨てました。
 私は本気でした。
 彼に絶対に書かせようと心から話しました。
 でも彼はなかなか書こうとしません。
  
 ようやく帰る前に、
 彼は目標を書いた紙を、私に手渡しました。
 その目標を見てびっくり!
 なんと!
「今年こそ暴れない」
 と書いていたのです。

 彼は本当は、暴れたくなかったのです。
 その心を分かってあげられなかった私は、
 彼を人がいないところに連れていき、泣いて謝りました。

 そして約束しました。
「授業中、どうしても我慢できなくなったら先生にサインを送ってな」と。
 その日を転機に、彼と少しずつ心が通うようになっていったのです。
 学級もしだいに落ち着いていきました。

 終業式の日。彼から

 

先生ありがとう」


 と書いてある手紙をもらった時はまた涙しました。
 彼との出会いで

「自分が変われば相手(環境)が変わる」

「人間の可能性を信じ抜く勇気」

 を学びました。

 日々、「これさえなければ・・」
 とよく思ってしまうことがあります。
 そんな時、彼との関わりを思い出します。

 彼は今頃、どこで何をしているのでしょう。
 彼と会って語りたいな。